これは、以前講演 を依頼したことのあるRobert White氏(クリエイター )のおばあさんが、教会から「愛のお話」をしてほしいと頼まれた時にした実話です。
けっして派手なお話ではありませんが、その頃のアメリカ(日本も同じだったはずです)の良さが滲み出ていて「愛」に溢れた素晴らしいお話だったので、みなさんにもご紹介したいと思いました。
私が直接訳しました。
もっと素敵な日本語になったかもしれませんが、そこのところはご了承ください。
でも、ロバートも、日本の方々とも、このお話をシェアすることができて喜んでくれるでしょう。
ちょっと長いのですが、お付き合いください。みなさんのクリスマスを少しでも暖かくすることができたら幸せです。
****愛の靴******************
マリーの子供の頃、家庭はとても貧しいものでした。
近くにギボンスさんというおじいさんがいて、これまた負けずに貧乏でした。
ギボンスじいさんは、体が弱っていて身の回りの事を全てできるわけではなく、彼のお手伝いをすることがマリーの日課として母親から課されていました。
いつもは、森に行って木を取ってきて、火まわりのお手伝いをしていたのですが、もちろんメリーにとって楽しい仕事ではなく、いつも母親に言われてはやっていたのでした。
ある日、おじいさんの家に行くとお客さまが来ていました。
男の子と、そのお父さんで、マリーはその男の子が着ていたセーターに目を奪われます。
鹿が編みこまれていて、色もマリーの大好きなものでした。
早速、彼にそのセーターの情報を聞き出しました。そのセーターは、町のお店で10.95ドルで売っていて、まだ残っているとのこと。
マリーは、すぐ母親にその話をし、今年のクリスマスは自分で買ってきてもいいか尋ねてみると、母親はすぐ了承しました。
マリーは、次の休日を待って町まで出かけます。もちろん、その日もおじいさんの家に行ってお手伝いをしました。
その時マリーは、今日これから町に出かけることを話し、「ついでに何かお使いをしてきましょうか?」と尋ねたのです。
おじいさんは、「だったら靴を修理してきてくれるかな?片方の靴が磨り減ってしまい、底を修理する必要があるんだ。」と言い、靴を渡しました。脱いだ足の靴下もボロボロでした。
おじいさんは、なけなしの2.30ドルをマリーに渡し、知り合いの靴修理のお店を教えてくれ、「君が帰ってくるまで、ジッとここで待ってるよ。」と言いました。
マリーは、早速靴修理店に行き、靴を渡して、「2.30ドルで足りるか」「ショッピングしている間に完成するか」を聞きました。お店の 人は、よくギボンスじいさんを知っていて快諾してくれました。
マリーは、男の子から教えてもらったお店に行ってセーターを買い、ルンルンと靴修理店に戻ります。
そこで、ギボンスじいさんの靴は、擦り切れ過ぎていて修理不能だったことを知ったのです。
でも、お店のおじさんは、ちょうどお店に中古で同じサイズの靴が13.95ドルで売っていることを教えてくれました。
マリーは、おじいさんが2.30ドルしかお金を持っていないのを知っていました。
マリーは、もう一度おじいさんの靴を見て、店のおじさんに「ちょっと待ってて。」と言い、そのお店を後にします。
彼女は、セーターを買ったお店に戻り、セーターを返品し10.95ドルを取り返しました。
そして、靴修理屋さんに戻り、13.25ドル(10.95+2.30)で中古靴を売ってくれるか尋ねました。
おじさんはOKと言い、おまけに2つの暖かいウールの靴下をつけてくれました。
マリーは、いつもお母さんに「いいニュース」と「悪いニュース」がある時は、必ず「悪いニュース」から言うんだよ、と言われていいたため、ギボンスじいさんの家に着いた時、まず「靴の修理ができなかったこと」を報告しました。
おじいさんは、「いいよ、いいよ。あの靴は、まだまだ使えるはずだ。心配しなくても大丈夫だよ。」
次にマリーは、彼へのクリスマスプレゼント(靴とソックス)を渡しました。
それを見たおじいさんの目からはポロポロと涙がこぼれてきます。
そして、今度は彼もマリーのためにクリスマスプレゼントを用意したんだと言うのです。それは、彼の枕の下に隠されていると。
マリーは、「ほんとに?!」と言い、そこに行って枕を持ち上げると、なんとそこにはマリーが欲しかった、あの「鹿のセーター」が置かれていたのです。
マリーは、なんで自分がそれを欲しがっていたのを知ったのかを聞きました。
「私が、あの日の君の輝いた目を見逃すはずがないだろう?君が帰った後、早速男の子に子犬とセーターを交換しないかと持ちかけたんだ。彼は喜んで「いいよ!」と言ったよ。そうして、私はこのセーターを手に入れたんだ。」
そうして、二人は、涙を流しながら抱き合ったのでした。
これが、マリーおばあさんが教会で話した「愛のお話」でした。